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Vol.34HDDの種類とインターフェース|データ復旧

HDDの種類とインターフェース

ハードディスクには多くのタイプがあり、長い歴史の中で様々な規格が生まれていきました。現在では見ることのない古い規格もたくさんあります。

ハードディスクの接続インターフェイスには、大きく分けて「SCSI(Small Computer System Interface、スカジー)系」と「ATA(Advanced Technology Attachment、エーティーエー)系」の2つがあります。初期のハードディスクはSCSI系が主流で、信頼性の高さから現在でもサーバ用途で使われていますが、ハードディスクが広く普及したのは安価で手軽に扱えるATA系の登場による部分が大きいです。

世界初のハードディスク

世界で最初のHDD

世界で最初のHDDは、1955年にIBM社が開発した「IBM-350 RAMAC」と言われています。「ディスクパック式」と呼ばれるもので、24インチ(約60cm)という大きなディスクを50枚も内蔵し、高さはおよそ2メートルもありました。しかし、容量はわずか5MBしかなく、現在のハードディスク容量と比べると数十万分の一の容量しかありませんでした。その後、このディスクパックが交換可能な規格や、リムーバブル方式のハードディスク(いわゆる外付HDD)も開発されていきます。

1970年代初頭にはIBMから「IBM 3340」が発売されます。それまでのハードディスクとは異なり、ディスクの交換が不可能な密閉構造で、データの読み書きを行うためのヘッドと呼ばれる部品も内蔵されていました。これにより、外部からの塵の侵入を防ぎ、高い信頼性と大容量化が果たせました。「ウィンチェスター型」と呼ばれ、現在のハードディスクの構造もこれを継承しています。

SASIとATAの規格化

IBM3340の発売とほぼ同時期に、IBMのディスクストレージ製品の責任者であったアラン・フィールド・シュガート氏が、IBMを退社し「シュガート・アソシエイツ(Shugart Associates)」を設立しました。
その後、シュガート氏は低価格なハードディスクを製造する方針で投資家と対立して会社を離脱し「シュガート・テクノロジー(Shugart Technology)」を設立しています。その後、商標権の問題で改称し「シーゲイト・テクノロジー(Seagate Technology)」となります。

ST-506

ST-506

1980年、シーゲイト・テクノロジーは最初のPC用HDD「ST-506」を発売します。シュガート・アソシエイツのフロッピーディスク用のインターフェイスを流用しており、その後このインターフェイス規格が標準化されて「SASI(Shugart Associates System Interface、サジー)」規格となりました。
SASIは、光学メディアやプリンタなどを接続することはできず、HDD専用の接続インターフェイスでした。

SCSI端子

SCSI端子

1980年代後半になりSASIの後継規格「SCSI」が、米国国家規格協会(ANSI)によって制定されました。CD-ROMドライブ、MOドライブ、磁気テープ、スキャナなど、HDD以外の機器も接続できるようになり、台数制限も8台までと増加しました。

ATA端子

ATA端子

何台も接続できるSCSIは、ほとんどのパソコンにとっては必要以上に高機能で高価でした。安価な規格が必要となり、コンパックとコナー・ペリフェラル、ウェスタンデジタルの3社によって、IDE(Integrated Drive Electronics、アイディーイー)インターフェイスが開発されました。IDEの仕様は外部公開されていたため、他のメーカーも対応し、広く普及することになります。IDEに各社が独自仕様を取り込み互換性に問題が出てきたため、ANSIによって作られた標準規格「ATA」に組み込まれて、ATA-1規格となりました。

SCSIとATAの違い

SCSIとATAという二つの規格のHDDが生まれましたが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

SCSIとATAの違い

その1

一つ目の違いはデータの転送速度で、ATAよりもSCSIの方が高速に転送できます。その後、双方の規格とも転送速度が向上しますが、ATAよりもSCSIの方が高速なデータ転送に適しているという特徴は変わりません。

その2

二つ目は使用できるケーブルの長さで、SCSI接続の場合は12mまで使用可能ですが、ATA接続の場合は0.46mまでしか使用できませんでした。SCSIでは外部接続する機器を複数利用することも容易ですが、ATAではそのケーブル長の制限により外部接続が難しく、実質的には内蔵ドライブ専用の規格となっています。

その3

三つ目は同時接続できるドライブの数です。ATA接続でケーブル1本あたりに2台のドライブまでしか接続できませんが、SCSI接続の場合はもっとたくさんのドライブが接続できるようになっています。

その4

四つ目の違いはかかるコストです。高機能で汎用性の高いSCSI接続製品はどうしてもコストがかかり高額になりますが、ATA接続製品は機能的に制限が多い分コストを安く抑えることができるというメリットがあります。

SCSI系のHDDはコストが高い反面、拡張性や信頼性が高いため、サーバーや、RAID構成のHDDとして使用されることが多いです。

新しい規格の登場

ATA-1を高速化したATA-2と、リムーバブル接続メディアに対応したATA-3がそれぞれANSIによって規格化され、コストの低さもあってIDEインターフェイスが普及し始めます。企業で利用されるようなサーバなどではSCSIが使用されていましたが、一般的なPCにSCSIインターフェイスを搭載するのはコスト面から割に合わないとされることが多かったようです。
また、ATA系インターフェイスにはCDドライブなどのHDD以外の機器を接続するためのATAPI(ATA Packet Interface、アタピー)という規格も作られました。

一方のSCSI系にも新しい規格が生まれます。1992年には、ANSIにより「UltraSCSI(ウルトラスカジー)」規格が制定されました。転送速度はさらに向上し、同時に接続できるドライブの台数も最大16台と増加しています。

SATA端子

SAS端子

2000年にはATA系のSATA(Serial ATA、サタ)、2003年にはSCSI系のSAS(Serial Attached SCSI、サス)がそれぞれ発表され製品化が進み始めました。以前は、幅広いケーブルを使っていましたが、これらの規格はケーブルが細く、使い勝手が向上しています。
双方とも名前に「シリアル」とついていますが、これはデータの転送方式を示したもので、以前のものはパラレル方式と呼ばれています。

シリアルとパラレル

パラレル(並列)方式は複数の通信路に分割してデータを同時に転送します。これに対して、シリアル(直列)方式は一つの通信路で順番にデータを転送します。

パラレル(並列)方式とシリアル(直列)方式

パラレル方式のほうが一度に送れるデータ量が多いため、一見するとパラレル方式のほうが高速にデータを送れるように思えます。しかし、パラレル方式の場合、複数の通信路で送られるデータを同じタイミングで処理をする必要があり、全ての信号が到達するまで待つ時間が生じます。以前は通信速度が遅かったため、タイミングを合わせるための待ち時間は誤差の範囲で、通信路が多いほうが転送速度向上に有利でした。コンピュータの性能が上がり、通信速度も速くなった結果、待ち時間が無視できないレベルとなり、タイミングを合わせる必要のないシリアル方式のほうが転送速度を早くできるようになっています。

シリアル方式はコスト面でも有利となるため、パラレル方式にかわってインターフェイスの主流となっていきます。

近年の主流とさらに新しい規格

SATAは、一般的に利用されるハードディスクのインターフェイスの主流となっています。低価格、省電力という路線を徹底した結果、パソコンだけでなくテレビやビデオカメラ、ゲーム機など幅広い分野の機器で利用されるようになりました。SATA規格に、外付けドライブ用のインターフェイスとしてeSATA(External Serial ATA、イーサタ)という規格も定義されましたが、こちらはUSB規格という強力なライバルがいたため、あまり普及しませんでした。
一方、SAS接続のハードディスクは、SATA接続製品よりも高額なため、個人向け製品ではなく企業向けの高機能品やサーバ等で利用されるケースが多いようです。

近年は、HDDに代わる記憶媒体としてフラッシュメモリを搭載したSSDが採用される例が増えてきました。発売当初は非常に高価な製品でしたが、様々なメーカーが製品を製造販売するにつれて価格も下がり、ノートPCの記憶媒体として搭載されることも多くなっています。

mSATA(Mini Serial ATA、エムサタ)

mSATA

初期のSSDの接続インターフェイスはSATAが主流でしたが、2013年ごろにmSATA(Mini Serial ATA、エムサタ)という規格が誕生しました。これまでのSATAよりも小型で、パソコンのマザーボードに搭載された専用の端子に接続するものです。端子自体が小型のため、一般的なSATA接続のHDDやSSDよりもずっと小さなドライブを搭載することができ主にノートPCの記憶メディアとして採用されました。

M.2(エムドットツー)

M.2

このmSATAの後継規格として、M.2(エムドットツー)という規格も生まれました。mSATAよりもさらに小型なので、こちらもノートパソコンやタブレットなどのモバイルデバイスに適したメディアといえます。
M.2はmSATAの後継規格ですが接続端子には互換性がなく、mSATA同様パソコンのマザーボード側に専用の接続端子が必要になります。対応メディアの大きさや端子の形状にも複数の種類があり、サイズは規格で決められています。端子部分の形状によって転送速度も異なるため、同じM.2規格でも性能にも違いがあるということになります。

ハードディスクが生まれてから長い進化を経て、容量は数百万倍になっています。膨大なデータをやり取りするためのインターフェイス規格も進化を続けています。今後もさらに大容量化、転送速度の高速化が進んでいくでしょう。

データレスキューセンターでは、今回ご紹介した様々な規格のハードディスクやSSDのデータ復旧に対応しております。

3つのお約束

データ復旧のウソ?ホント?

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