HDDやSSDの容量偽装品について

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HDDやSSDの容量偽装品について

HDDやSSDの容量偽装品について

近年、ネット通販サイトやオークションサイト、フリマアプリなどのオンラインマーケットで、格安のHDD(ハードディスク)やSSD(ソリッドステートドライブ)が多数販売されています。一見するとお買い得なように見えるこれらの商品ですが、実はその中に「容量偽装品」と呼ばれる悪質な偽物が紛れ込んでいるケースがあることをご存じでしょうか?

これまでの容量偽装被害といえば、主にUSBメモリやSDカードといった小型のメモリーカード類で見られていました。しかし、最近ではより高額で大容量のHDDやSSDといったストレージ機器にも、偽装品が広く出回るようになってきています。こうした容量偽装品に騙されてしまうと、大切なデータを一瞬で失う危険性があります。

●SDカードやUSBメモリの容量偽装について
https://www.rescue-center.jp/elementary/vol54.html

容量偽装のHDDやSSDとは?

容量偽装のHDDやSSDとは、実際の記憶容量よりも大きな容量を装って販売されている偽造ストレージ製品のことを指します。典型的な例としては、実際には64GBしかないmicroSDカードを内蔵しながら、ファームウェア(制御プログラム)を改ざんすることで、システム上では10TBや20TBとして認識されるように細工されたものがあります。

実際に弊社がデータ復旧のご依頼を受けたHDDの中にも、このような容量偽装品が確認されました。ケースを分解したところ、内部にはわずか1枚のmicroSDカードとUSB変換基板、そして重量をごまかすためだけに入れられた金属製の重りが収められていました。外観は一見すると通常の外付けHDDのように見えますが、実態は極めて粗悪な偽造品です。

分解したHDDの中にmicroSDカードと金属製の重りが入っている

偽装品HDDのケースを分解

さらに、SSDでも同様の事例が確認されています。実際に弊社へ持ち込まれた製品の中にも、容量を偽装したものが含まれていました。正規の外付けSSDを分解すると、内部にはM.2タイプのSSDをUSB Type-Cに変換する基板が組み込まれています(製品によっては専用基板上にコントローラチップとフラッシュメモリが実装されている場合もあります)。一方、弊社に到着した偽装品を分解したところ、内部には小容量のmicroSDカードが使用されていました。

SSDの分解写真比較。正規品のSSDはM.2 SDDが内蔵されていて、偽装品のSSDはmicroSSDカードが内蔵されている

このような偽装品は、見た目やパソコン上の表示だけでは一見正常な10TBのHDDやSSDとして認識されるため、購入者が気付きにくいのが特徴です。しかし、実際に多くのデータを書き込んでいくと、ある一定容量を超えた段階でデータが書き込めなくなったり、ファイルが破損したり、保存していた情報が突然消えてしまうなどの深刻なトラブルが発生します。

容量偽装品の価格に注意

HDDやSSDは容量が大きくなるほど製造コストも高くなるため、価格も比例して上昇するのが一般的です。たとえば10TBや20TBといった大容量モデルであれば、5万円前後から十数万円の価格帯で販売されています。

一方、容量偽装品は実際の容量はごく小さいにもかかわらず、システム上は大容量に見せかけているため、正規品の相場よりも極端に安く販売されているケースが目立ちます。実際に、ある通販サイトでは「30TB」と表示されたHDDやSSDが、わずか1万数千円程度で出品されている例も確認されています。

このように一見すると非常に魅力的に思える価格設定ですが、相場から大きくかけ離れている場合は容量偽装の可能性が高いため、十分な注意が必要です。

容量偽装の仕組み

容量を偽装したHDDやSSDは、実際より大きな容量があるようにパソコンに認識させる仕組みが使われています。そのためエクスプローラなどで確認すると、あたかも大容量の製品を手に入れたかのように見えてしまいます。さらに、本来の容量を超えてファイルを保存しても、コピーが正常に完了したように表示されるため、一見すると問題なく使えているように見えてしまいます。

フォルダ内の画面キャプチャ。本来の容量に加えて容量偽装のファイルがフォルダの中に入っている。

ファイルの一覧

しかし実際には、本来の容量を超えた容量偽装の部分にはデータを正しく記録することができません。その結果、保存したはずの写真や動画などを開こうとすると、画像が途中で壊れて表示されなかったり、ファイル自体が開けなくなってしまいます。

フォルダ画面のキャプチャ。本来の容量に加えて容量偽装のファイルが複数存在している。

画面の表示

偽装品を見抜くポイント

容量偽装品を見極めるためには、購入前と購入後でそれぞれ確認すべきポイントがあります。

購入前に確認するポイント

  • 価格のチェック
    相場と比べて極端に安くないか確認します。特に半額以下で販売されている場合は要注意です。
  • 販売元の信頼性
    無名の販売者や、レビューが極端に高評価で不自然な場合は警戒が必要です。
  • 保証・返品規定の確認
    保証や返品条件が明確に記載されていない商品は避けましょう。

購入後に確認するポイント

  • 実容量の確認
    実際に大容量のデータを書き込み、実容量を確認します。容量偽装品をチェックするツールなどもあるので、そういったものを利用すれば簡単にテストを行えます。
  • 外観のチェック
    端子の作りが粗い、全体が異常に軽いなど、不自然な点がある場合は偽装の可能性があります。
  • 書き込みテスト
    容量の半分以上を書き込んだあたりでエラーやファイル破損が発生する場合は、容量偽装品である可能性が高いです。

これらの確認を行うことで、容量偽装品によるトラブルを未然に防ぐことができます。

万が一購入してしまった場合

もし容量偽装品を購入してしまったと判明した場合は、すぐに販売元へ連絡し、返品や返金を求めましょう。信頼できるECサイトであれば、偽装品であることが証明できれば事務局が介入して対応してくれることがあります。

一方で、フリマアプリやオークションなど、個人間取引で購入した場合は返金や返品対応が難しいケースが多くなります。この場合は、被害報告としてプラットフォーム運営に連絡し、今後の取引停止や注意喚起に役立ててもらうことが必要です。被害を広げないためにも、発覚後は早急な対応が求められます。

データを守るために

容量偽装品の被害から大切なデータを守るためには、まず信頼できるメーカーや正規販売店からのみ購入することが基本です。特に、価格だけで選ぶのではなく、保証内容や販売実績を重視することも重要です。

さらに、どんなに信頼できる製品を使っていても、バックアップの習慣は欠かせません。外付けHDDやクラウドストレージなど、複数の保存先を組み合わせることで、万が一の故障や偽装被害にも備えられます。安さよりも信頼性を優先し、定期的なバックアップを行うことが、最も確実なデータ保護対策です。

弊社ではこれまでに、容量が偽装されたHDDやSSDからのデータ復旧事例が多数ございます。ただし、データが復旧ができるのは本来の容量分のデータ量に限られます。たとえば、30TBの製品でも実際のデータ領域が64GBしかない場合には、復旧可能なデータ量は64GBまでとなります。定期的なバックアップが重要とはいえ、バックアップに使用するメディアが容量偽装されたものでは意味がありません。バックアップ用メディア購入の際には、悪質な製品に騙されないよう十分に注意しましょう

●PC/HDD(ハードディスク) データ復旧事例
https://www.rescue-center.jp/case/hdd.html

●SSDデータ復旧事例
https://www.rescue-center.jp/case/ssd.html

●RAIDデータ復旧事例
https://www.rescue-center.jp/case/raid.html

●LinkStation(リンクステーション) データ復旧事例
https://www.rescue-center.jp/case/linkstation.html

●TeraStation(テラステーション)データ復旧事例
https://www.rescue-center.jp/case/terastation.html

●LANDISK等その他NASデータ復旧事例
https://www.rescue-center.jp/case/lanhd.html

●SDカード/microSD データ復元事例
https://www.rescue-center.jp/case/mc.html

●USBメモリ データ復旧事例
https://www.rescue-center.jp/case/usb.html

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