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HDDの大容量化技術について

HDDの大容量化技術について

HDDの大容量化は年々進んでおり、2007年には最大1TBでしたが、10年後の2017年末時点で市場に流通しているものでは容量が10TB~12TBのものが最大となっています。今後はさらに大容量のHDDがリリースされることも予告されています。

HDDの大容量化がここまで進んできたのは技術的なブレイクスルーがいくつもあったからですが、具体的にどのような技術発展があったかを解説します。

HDDの基本構造

ハードディスクドライブの基本構造は、よくレコードプレーヤーに例えられます。レコード盤に当たる円板がプラッタ、読み取りをする針に当たる部品が磁気ヘッドになります。

HDDの基本構造

●ハードディスクの構造
https://www.rescue-center.jp/explanation/harddisk/structure.html

プラッタについて

HDD内にはデータを記録するプラッタが複数枚入っています。ケース内の限られた空間で高速回転するため、適度な重さ・硬さがありながら製造・加工が容易なものが求められます。材質はアルミニウム合金がよく用いられていましたが、2000年以降はガラス製プラッタも使用されるようになりました。より剛性が高く、平滑度も高くしやすいため、大容量化に適しています。

ハードディスク内のデータは磁気で記録していますが、プラッタ自体は非磁性体です。プラッタの表面に薄く磁性素材が塗られており、小さなブロックが無数に形成されています。そのブロックの一つ一つの磁界の向きで0と1のデータが記録されます。つまり1つのプラッタのデータ容量は、このブロックの数に比例することになります。

プラッタを原稿用紙とすると、ブロックがマス目にあたる関係になり、原稿用紙(=プラッタ)自体を増やすか、原稿用紙上のマス(=ブロック)密度を細かくすることでHDDの大容量化を図ることになります。ただし、小さなケース内でプラッタが安定して動作するにはある程度の厚みを持つ必要があります。

また振動や気流の乱れ、摩擦や電力の消費を抑えることまで考慮するとHDDに内蔵できるプラッタの数は4~5枚までが限界とされてきました。

そのため、プラッタの数を増やすのではなくできるだけ小さなブロックを生成する新しい磁性素材の研究と、微小な磁性変化を感知できる感度の高いヘッドの開発という方向でHDDの大容量化が進んでいました。

記録密度向上の基本原理 Aデータ記録時 ブロックを小さくすることで記録密度を向上させる Bデータ再生時 小さいブロックからでも読み取れるようにヘッドの感度をあげる

●ハードディスクについて
https://www.rescue-center.jp/explanation/harddisk/

ヘッド技術の進化

世界初のHDDは記憶容量5MBしかなく、1平方インチあたりの記録密度は2キロバイトでした。現在のデジカメ写真1,2枚程度しか収まらない容量です。当初採用されていたヘッドは電磁誘導の原理を利用したインダクティブヘッドで、これは記録ビットの磁力を直接利用する仕組みのため、ブロックを微小化するにはどうしても限界がありました。年々改良は進んでいきましたが、年平均では25%程度ずつというゆっくりとした向上率で、90年代までにようやく1平方インチあたりの記録密度は70メガビットまで伸びています。

その状況を一変させたのが1991年に実用化されたMR(Magnet-Resistance)ヘッドです。ビット磁界の向きによって電気抵抗が変化する性質を利用することで感度を飛躍的に上げることが可能になり、高密度化が一気にすすみました。

この技術はさらに1998年にGMR(Giant MR)ヘッド、2005年にTMR(Tunnel MR)ヘッドと発展していき、この期間においては、1平方インチあたりの記録密度は、年平均で60%~100%も向上しています。その結果、90年代末頃の大容量HDDと言えば20~40GB程度のものでしたが、2005年には500GBのHDDが製品化されるようになりました。

同時期に、記録方式も大きく変化しています。記録密度が高まると隣り合ったブロック同士が影響をしあうようになり、安定した記録・再生ができなくなるようになります。そこで考えられたのが、「水平磁気記録方式」から「垂直磁気記録方式」への転換です。水平方式はプラッタ面の向きと平行な磁気の向きでデータを記録していますが、垂直方式はプラッタ面に垂直な磁気の向きでデータを記録することでブロックをより微細化できるようになります。

垂直磁気記録方式の導入により、1平方インチあたり100ギガビットが限界とされていた記録密度の壁を超えることが可能となり、2007年に1TB、2009年には2TBのHDDが製品化されています。

しかし2010年以降になって、再び記録密度の限界を迎えることになります。記録密度をあげていくには、ヘッドは小さくしつつ、発生させる磁界は強くさせるという矛盾した改良を同時に行う必要があり、その限界がついに訪れたわけです。具体的には2011年から2014年にかけては700ギガビット~800ギガビットで記録密度はほぼ頭打ちになっていました。2010年には3TB、2011年に4TBのHDDが製品化されていますが、以前と比べると記録密度の向上率は年々小さくなっています。

記録密度向上の推移

ヘリウム充填HDDの登場

そこで次のブレイクスルーとして登場したのがヘリウム充填型HDDです。最初に触れたとおり、ある程度の厚みが必要なためプラッタの枚数を増やすことは非常に困難でした。そこで空気抵抗を減らすという方向で対策されたのが、ヘリウムをHDD内に充填させる方式です。

従来のHDD内部には普通の空気が入っており、気圧調整のために空気穴もあいていましたが、ヘリウム充填HDDは完全密封しています。空気と比べて比重の軽いヘリウムを充填することで空気抵抗が大きく下がることになりました。抵抗が減ったため薄いプラッタでも安定して回転できるようになり、厚みを限界ぎりぎりまで減らし、間隔も狭め、プラッタの枚数を増やすことが可能になりました。

プラッタを6枚から9枚まで増やすことで、容量が1.5倍から2倍以上一気に向上することになりました。2013年に初めて発売されたのが6TBで、以降2017年末までに10TB,12TB,14TBと次々に大容量HDDが発表されています。

大容量HDDの発売時期 2005年500GB 2006年750GB 2007年1TB 2008年1.5TB 2009年2TB 2010年3TB 2011年4TB 2013年6TB 2016年10TB 2017年12TB

さらにヘリウムのメリットは容量の増大だけでなく、空気抵抗の減少により消費電力も抑えられ発熱も少なくなり、また完全密閉構造の影響等もあり、平均故障間隔が従来品の200万時間程度から250万時間に向上したという報告もあります。
ヘリウム充填のHDDはまだまだ価格が高く、データセンター等で使われるエンタープライズ向けの製品となっていますが、2014年頃から市場にも流通しており、一般家庭で使われているケースも増えているようです。

次のブレイクスルー

今後も、年々HDD容量が大きくなる予定で、2023年から2025年までには40TBのHDDが計画されています。プラッタ枚数の増量による大容量化はすぐに頭打ちになりますが、記録密度をさらに上げることができる技術がすでに登場しています。

高い保磁力を持つ素材を使用すると、記録密度を高めることができますが、保磁力が高いということは記録時のハードルも上がります。磁界を強めながらヘッドを微小化させていく対応ではこのハードルを越えることができなくなったので、逆に従来並みの磁界でも記録を可能にするために開発されたのが”エネルギーアシスト”という手法です。

磁性材料が特定の温度では磁気異方性を急速に失うという現象を利用して生まれたのが、レーザーで瞬間的に加熱することで、局所的に保磁力を下げて記録する技術「熱アシスト磁気記録(HAMR:Heat Assisted Magnetic Recording)」です。

これは2006年頃には本格的な研究が始まっており、2012年頃には実用レベルまで開発が進んでいました。耐熱に優れたガラスプラッタと非常に相性がよく、従来の垂直磁気記録方式の技術にそのまま組み合わせが可能なため、すでにヘッドの量産体制も確立されています。HDDのサンプル出荷も始まっているため、近いうちに市場にも出てくるでしょう。

それより数年遅れて開発されたのがマイクロ波を使い記録磁界を低減する「マイクロ波アシスト磁気記録(MAMR: Microwave Assisted Magnetic Recording)」です。

この両技術はHAMRがSeagate、MAMRがWesternDigitalというHDD業界の2大メーカーがそれぞれ採用している技術で、競い合う関係になっています。耐久性やコストはMAMRにメリットがあるとされていますが、HAMRは開発の歴史も長く実用化は数年リードしており、また記録密度の向上性はHAMRの方が大きいと見られています。

HDD事業2大メーカーの採用技術 Seagateは熱アシスト磁気記録(HAMR:Heat Assisted Magnetic Recording)を採用 WesternDigitalはマイクロ波アシスト磁気記録(MAMR: Microwave Assisted Magnetic Recording)を採用

これらの技術では記録密度は1平方インチあたり5テラビット程度までの拡張可能性が見込まれていますが、この5テラビットの壁についてもその対策はすでに検討されています。

5テラビットを超える超高密度な記録には、記録層そのものをさらに進化をさせることが必要と考えられており、表面に凸凹のパターンを付ける「ビットパターンメディア(BPM:Bit Pattern Media)と呼ばれる技術が研究されています。これにより隣接ブロックへ漏れる磁界を大幅に減らすことが可能なことは既に確認がとれており、またHAMRの技術にあわせて断熱性を高める効果も期待されています。2023年以降は、HAMRにBPMを組み合わせた技術でさらなる大容量化が計画されています。

限界にぶつかっても常にそれを超える技術を開発しつづけるHDDの大容量化は今後も止まらずに進んでいくことでしょう。

データ復旧の現場では

今後しばらくは市場流通が広がりそうなヘリウム充填タイプのHDDですが、データ復旧という観点からみると非常に難易度が高い対象となります。そもそもヘリウムが充填されていることが前提となっている特殊な構造になっているためで、従来とは違う方法を確立する必要がありました。新しいタイプのHDDのデータ復旧にも対応範囲を広げております。万が一の場合はご相談ください。

●ハードディスクの種類
https://www.rescue-center.jp/explanation/harddisk/type.html

●ハードディスクの障害
https://www.rescue-center.jp/explanation/harddisk/failure.html

●HDDの種類とインターフェース
https://www.rescue-center.jp/elementary/vol34.html

●HDD(ハードディスク)のデータ復旧事例
https://www.rescue-center.jp/case/hdd.html

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